鍼灸師は稼げない？年収・給料の現実と稼ぐために知るべきこと

鍼灸師の給与は、鍼灸院や整骨院、病院などの医療施設で勤務スタッフとして働いている場合と、鍼灸院を独立開業している場合、個々の実績や技術・経験値の差、ボーナスの有無などによって変化します。

特に高収入を得ている鍼灸師の中には、独立・開業に成功した人が多いです。自身で鍼灸院などを開業し、経営を成功させることが出来れば、かなりの高収入を期待できるでしょう。しかし開業はかなりのリスクもあり、誰でも成功できるものではありません。鍼灸師と言っても全員が開業をするのではなく、医療施設や病院で安定した給料を稼ぐ人も多いです。

鍼灸師のメリット

鍼灸師のメリットについて解説していきます。鍼灸師のメリットは以下の3つです。

• 実績次第で高収入を狙える
• 独立・開業のチャンスがある
• 専門性が高い

実力次第で高収入を狙える

鍼灸師は、実力次第で高収入を得ることが可能です。鍼灸師の平均年収は約350万円〜450万円と言われていますが、鍼灸師の中には、開業や独立に成功し、年収1,000万円近くを得る人もいます。もちろん高い年収を得るには、鍼灸師としての実力はもちろん、ビジネスを成功させるためのマーケティング能力も必須です。

またアメリカの鍼灸師の平均年収は約850万円と言われています。これは日本の鍼灸師の平均年収の2倍〜3倍の数値です。海外でも鍼灸師の需要は非常に高いため、高い年収を得るために渡米する鍼灸師も多くいます。

鍼灸師は、医療系国家資格であり、人々からの需要も非常に高いです。鍼灸師が果たす役割は非常に大きく、日本を含め全世界で鍼灸師は重宝されています。鍼灸師として高い実力を身に付け、かつ正しいビジネス手法を実践できれば、鍼灸師として高い年収を得ることが出来るでしょう。

独立・開業のチャンスがある

独立・開業のチャンスがあることも鍼灸師のメリットです。鍼灸師には国家資格取得後、開業権が与えられます。様々な規定を満たす必要はありますが、独立開業して、自分自身が思い描く鍼灸院を造りあげることが可能です。

また開業以外にも『訪問治療』という形で、独立することもできます。訪問治療とは鍼灸師が患者の元に自ら出向いて、患者宅で施術を行うことです。訪問治療の場合でも保険診療として認められるため、出張専門の鍼灸師として独立することができます。店舗を構えて営業を行う必要がないので、店舗運営の管理もなく、比較的低予算で鍼灸師としての活動を行えることがメリットです。

医療系資格の中でも開業権が与えられる資格は限られます。鍼灸師は開業権が認められている資格なので、鍼灸の技術と知識を活かし開業に成功できれば、より高い年収を得ることが出来るでしょう。

専門性が高い

鍼灸師の国家資格を取得することで、自身に高い専門性を身に付けることができます。鍼灸師と一言で表しても、その役割は様々です。年代は小児〜高齢者まで、働く場所も鍼灸院・クリニック・美容外科・スポーツ施設など、鍼灸師が活躍できる場所は多種多様にあります。

特に近年では人々の健康・美容意識の高まりから、鍼灸師は社会的価値が高まってきているのも事実です。鍼灸師は国家資格ということもあり、試験の難易度が高いだけでなく、取得までのプロセスも険しくなっています。

しかし鍼灸師の国家資格を取得することが出来れば、高い専門性が身に付くため、キャリアアップはもちろん、他者の人生にも大きく貢献することが可能です。

鍼灸師のデメリット

鍼灸師の仕事は、メリットだけではありません。鍼灸師のデメリットは以下の2つです。

• 給与格差が大きい
• 転職がしにくい

給与格差が大きい

鍼灸師は、給与格差が大きい仕事です。年収300万円以下の人も居れば、年収1,000万円以上を稼ぐ人もいます。給与格差が大きいということは、鍼灸師の国家資格を取ったからといって、高い年収を得られる訳ではないことを意味します。

給与格差が大きくなる理由は様々ですが、その理由の一つが『開業成功の有無』です。前述した通り、鍼灸師は資格取得後に開業権が与えられます。開業権があるため、鍼灸師の多くが開業に挑戦しますが、多くの人が経営が上手くいかないことがほとんどです。

一方で経営に成功している鍼灸師もいます。経営に成功し利益が多く出れば、その利益は全て自身の年収に直結します。顧客が多い鍼灸店になれば、年収1,000万円を稼ぐことも夢ではないでしょう。開業に成功するか否かで給与格差が出ることが、鍼灸師の仕事の特徴です。

転職がしにくい

鍼灸師の仕事は、他業種への転職がしにくいことがデメリットです。鍼灸師は専門性が非常に高い仕事である一方で、鍼灸師の技術・知識自体は他業種への応用が利かせづらいという側面もあります。事務職なら『事務処理スキル』、バックオフィス職なら『データ分析スキル』など、他業種で大いにスキルを活かすことが可能です。

鍼灸師も高いコミュニケーション能力が必要とされ、このスキルは営業職などで活かすこともできます。しかし鍼灸師はコミュニケーション能力以上に、鍼灸の技術・知識向上に多くの時間を費やすことがほとんどです。鍼灸の技術・知識は専門性が高い分、他の職種では活かしにくいスキルになります。

いくら鍼灸師として高い技術と知識を持っていたとしても、全くの別業種に転職する際には、これらのスキルが優位に働くことはほとんどありません。そのため鍼灸師は他職種に比べて、転職がしにくい仕事でもあるのです。

鍼灸師として稼ぐためのポイント

鍼灸師として稼ぐためのポイントについて解説していきます。鍼灸師として稼ぐためのポイントは、以下の5つです。

• 実績と経験を積み上げる
• 高齢者対象の鍼灸治療をする
• 女性美容に適した鍼灸治療をする
• 海外で鍼灸師として活動する
• 鍼灸院を開業する

順に深堀して解説していきます。

実績と経験を積み上げる

まずは鍼灸師として実績と経験を積み上げていくことが先決です。どんなに鍼灸師としての技術・知識に優れていても、実績と経験が伴わなければ、お客様から高い信頼を得ることはできません。まずはお客様から信頼されるだけの実績と経験を積み上げていきましょう。

また鍼灸師として実績や経験が未だ未熟なうちに開業してしまうことも避けることが大切です。顧客も付いていないうちに、大きく年収を上げたいばかりに開業に踏み切ると、思わぬ痛手を追ってしまうことがあります。開業はノリや勢いで実行するのではなく、しっかりと実績と経験を積み上げたうえで行うことが成功のポイントです。

鍼灸師として成功し、高い年収を得るためには、長い年月をかけて実績と経験を積み上げていく必要があります。いきなり鍼灸師として稼げるようになることはなく、長い年月をかけて実績と経験を積み上げ、お客様から高い信頼を得ることが最重要なのです。

高齢者対象の鍼灸治療をする

高齢者対象の鍼灸治療を行うことも鍼灸師として稼ぐためのポイントです。高齢化が進む日本社会では、予防医療の観点から、東洋医学や鍼灸医療が注目を集めています。国も医療費削減のために予防医療に対して力を入れており、鍼灸治療も医師の同意診断書があれば、一部健康保険として治療を受けることが可能です。

日本では、今後も高齢化が進むことが予想されており、鍼灸治療の需要も高まっていくでしょう。高齢者に適した鍼灸治療を行うことで、顧客も増え、必然的に年収を増やすことが可能です。

また医療技術の発展により、日本以外の国でも高齢化が加速しています。アメリカなどの西洋文化を持つ国では、鍼灸は真新しい治療法であり、需要も日本に比べて高いです。アメリカの鍼灸師の平均年収は日本の2倍〜3倍であることも鍼灸師の需要が西洋で高いことを表しています。

女性美容に適した鍼灸治療をする

女性美容に適した鍼灸治療を行うこともおすすめです。近年ではTVや雑誌、インターネットなどのメディアで『美容鍼灸』が大きな注目を集めています。SNSやインターネットなどにより情報を多く得られるようになったこともあり、女性の美容に対する意識は一昔前に比べて大きく高まっている時代です。

髪の毛ほどの細い針を行う美容鍼灸は、小顔やリフトアップに効果があります。即効性があり、エステ感覚で比較的手軽に治療が受けられることから、今後も人気は続いていくと予想されるでしょう。

美容鍼灸に特化した鍼灸院も日本では増えてきています。30代〜40代の女性を対象にエステよりも比較的安価な料金で施術を行なっている鍼灸院が多いです。鍼灸治療院に比べると数も少ないので、美容鍼灸に特化する方が稼げる可能性もあります。

海外で鍼灸師として活動する

海外で活動することも、鍼灸師として稼ぐための方法になります。例えば、アメリカの鍼灸師の平均年収は約870万円です。日本の鍼灸師の平均年収は約370万円と言われているので、アメリカの鍼灸師は日本の約2倍〜3倍平均年収が高いことになります。

アメリカやヨーロッパ諸国は日本や中国に比べると、圧倒的に鍼灸の需要が高い国です。特にアメリカで鍼灸師として働く人は、約2万人以上にもなると言われており、アメリカの鍼灸に対する需要が非常に高いことが分かります。日本で鍼灸師は人気の資格であるものの、資格難易度に比べて、平均年収が低いことが問題視されています。

日本人鍼灸師の中には既に海外で活躍している人も多いようです。平均年収の額が2倍以上違うこともあるので、言葉の壁があっても海外で鍼灸師として活動し成功している日本人もいます。

鍼灸院を開業する

鍼灸院を開業することが、鍼灸師として高い年数を得るための最もベーシックな方法です。鍼灸院を開業し経営に成功することが出来れば、年収1,000万円を稼げる可能性もあります。実際に鍼灸師として平均年収以上のお金を稼いでいる人の多くは、開業に成功した人達です。

しかし鍼灸院を開業し経営を成功させることは、決して簡単ではありません。もし経営に失敗すれば、年収が低くなるだけでなく、借金を背負うリスクもあります。鍼灸師は資格取得後に開業権が与えられるため、鍼灸院を開業すること自体は難しいことではありません。しかし開業後の経営に成功することは決して簡単ではないのです。

大切なことは、鍼灸師としてのスキルだけでなく、経営を成功させるためのスキルも身に付けること。マーケティング・マネジメント・法的知識など経営を成功させるためには、様々なスキルが必要です。もし開業を検討しているのならば、こうした経営スキルを身に付けることにも着手しましょう。

鍼灸師は需要の高い仕事

鍼灸師は日本でも古くから馴染みのある治療法であり、医療技術が発展した現代でも需要の高い仕事です。またアメリカなどの海外でも鍼灸師の需要は高まっており、日本よりも平均年収が高くなっています。開業や海外での活動も視野に入れれば、鍼灸師として高い年収を得られる可能性は十分にあるでしょう。